人命關天!德島救護車未搭載救命器具出勤 爆嚴重疏失

救急車のサイレンが鳴り響いても、肝心の救命器具が車内にない——。徳島県の那賀町消防署が、通常装備として搭載が義務付けられている手動式人工呼吸器「蘇生バッグ」を積まないまま出動していたことが明らかになり、地域住民に衝撃を与えている。
那賀町消防署の救急車が、通常装備が求められている手動式人工呼吸器の「蘇生バッグ」を搭載せず出動していたことが判明した。署員が車から持ち出した後、戻すのを忘れていたという。報道した徳島県の地域メディア・徳島新聞(topics.or.jp)によると、町消防本部は「確認が不十分で不適切だった」と認めた。
町消防本部によると、装備せず出動していたケースは、4月上旬に1件あった。蘇生バッグとは、呼吸が止まった、あるいは不十分な患者に対して手動で空気を送り込む医療器具で、心肺停止や重篤な呼吸不全への対応に欠かせない装備だ。
厚生労働省の資料によると、蘇生バッグは無呼吸や呼吸不全状態にある患者の緊急時の換気に用いられる医療機器であり、救急現場において一刻を争う場面で用いられる。この器具が救急車に積まれていなければ、命取りになりかねない事態も十分に考えられる。
今回の那賀町の事案は、孤立した事例では終わらない。じつは徳島県内では半年ほど前にも、別の消防本部で深刻な管理上の問題が表面化していた。阿波市と吉野川市を管轄する徳島中央広域連合消防本部は、救急車が出動した際に、救急用薬剤「アドレナリン」が入った容器1本を紛失したと発表した。
アドレナリンは心停止の治療などに使われる薬剤で、「劇薬」に指定されている。NHKの報道でも、吉野川市と阿波市を管轄する消防本部は、救急車に保管していた劇薬に指定されている「アドレナリン」の薬剤1本を紛失したと発表したと確認されている。
徳島中央広域連合消防本部のウェブサイトに掲載された情報によると、消防本部によりますと、アドレナリンは救急車内の棚に10本を常備し、鍵をかけて保管していて、1月6日の時点で紛失は確認されていなかった。7日の午前2時過ぎの救急出動で2本使用した後補充して業務を続けたが、午前9時20分ごろ、1本足りないのに気が付いたという。
二つの事案に共通するのは「確認の甘さ」だ。西消防署は7日、警察に遺失届を提出した。中央広域連合消防本部の消防長は「薬剤の取り扱い、管理体制を徹底し再発防止に努める」とコメントした。
一方、こうした問題の背景には、救急需要の増大という現実もある。徳島中央広域連合消防本部の救急出動件数の平均は約3500件で、年々増加傾向にある。出動件数増加の主な要因は、高齢化社会の進展に伴う65歳以上の搬送人員が約7割を占めることが挙げられる。
徳島市全体でみても、令和7年の救急業務の概要は、出動件数14,747件、搬送人員12,904人で、1日平均40件、約36分に1回の割合で救急車が出動した計算となる。慢性的な出動多発という過酷な環境のなかで、隊員一人ひとりへの精神的・肉体的負荷は計り知れない。
しかし、それを差し引いても、救急車から救命器具が失われる事態は到底許容できない。救急車の台数は限られており、出動件数が多くなると、救急車を呼んでも最寄りの救急車が出動できなくなる可能性がある。また、医療機関でも救急患者を受け入れることができなくなり、重症患者の治療が遅れてしまうかもしれない。
徳島県では、消防と医療機関が連携して救命率を高めようとする取り組みも進んでいる。徳島中央広域連合消防本部は、消防機関と医療機関が救急搬送時に患者の状態や受け入れ医療機関の情報を双方でリアルタイムに共有できる「救急搬送支援システム」の運用を開始している。このシステムが目指す「救命率の向上」は、器具の積み忘れという初歩的なミスによって根底から覆されかねない。
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